船本 由佳

ワークショップに参加する人の心理的安全性を大切にします。
特に立場の弱い人、声をあげづらい人がまずはここにいていいのだということを感じてもらえるような場をつくります。
例えば子育て中の人や障がいのある人などは一般の人のペースで進むワークショップに気後れしたり、取り残されたりしてしまいがちですが、事情に応じて情報保障や託児を用意し、まずは「ここにいていいのだ」とおもってもらえるように努めます。
スローな場づくりは、小さな子ども連れ、障がい者、外国籍の人、子ども、高齢者など、誰でも社会参画しやすい社会を作ることにつながると思っています。「多様な生き方」を肯定する社会を目指したいとおもいます。

ワークショップがおわったあと、参加者がどうなるとよいのかを考えてワークショップを設計します。
本当の学びは、参加者が自分で動き自分で考え自分で答えを出すことで身につくものです。ワークショップのことを他者に話す、同じように家庭でやってみるなど、ワークショップとその後の日常がつながるよう心がけてファシリテーションをします。進行役や年長者が答えを誘導することなく、参加者が他者との語り合いを通して、それぞれの答えに辿り着いて欲しいです。
自分なりの答えに辿り着く経験を経て、自分で答えを探りたいと思う「主体性」をもった人が増えることを望んでいます。
また、ワークショップの目標の設定を慎重に行います。依頼主とともに目指す未来のイメージを考えてワークショップを構築します。

「発信」「編集」「情報」をテーマとしたワークショップを開発しています。これまでに子育て当事者の100の声をカードにまとめた「話そう子育てワイワイ会議」や、メディアリテラシーのヒヤリハットを49枚のカードにまとめた「ローカルメディアコンパス」などのワークショップを作ってきました。カード状のワークショップツールを用意することで、参加者が等しく情報を取れるようにして、同じ目線で対等に話せるように工夫をしています。
わたしは自分自身がマスコミで仕事をしていた時に感じた課題意識と経験から、「立場が弱いとされる人が意見をいいやすい社会をつくり、より住みやすい地域社会を構築していきたい」、「情報がうまく伝わらないことによって起こる諍いをなくし、誰もが情報発信をストレスなく行うことができる社会を目指したい」と考えるようになりました。
また、物事を取材し、編集し、発信するというプロセスのなかで体験を通して本人のためにも社会のためにも役立つ実感を得ることができます。発信に携わることで、自分も社会も豊かになっていきます。個人が社会と主体性をもってつながるための手段として「発信」を用いています。